2012年6月27日水曜日

2012年7月の俳句

汗ばみて家裁のベッドに赤子寝る
 
 家庭裁判所の待合室にはベッドがあります。離婚事件などで出頭した母親が赤ちゃんを寝かせるためです。時々,このベッドにかわいい赤ちゃんが寝ているのを見ます。きっと,離婚事件なのでしょう。母親は不安そうにうつむいて椅子に腰掛けています。すやすやと寝ている赤ちゃんもうっすらと汗ばんでいます。この子にはこれからどんな運命が待っているのでしょう。幸いを願わないではいられません。
 

2012年6月24日日曜日

平成25年6月の俳句

獄(ごく)の塀片蔭(かたかげ)もなし母辿(たど)る 



「片蔭」というのは,建物や塀の片側にできる日陰のことで夏の季語です。

暑い時期には,外を歩くときには少しでも日陰の涼しいところを選んで歩きたいものです。
しかし,太陽が真上から照らす真昼近くは片蔭すらできません。


拘置所の長く高い塀に沿って,今日も母親が面会にいきます。
厳しい暑さは母親が辿る日陰すら与えません。
母親の置かれている厳しい現実を思わせます。

2012年5月2日水曜日

<お知らせ>ブログのシステム変更

この度,ブログのシステム変更をしたため,過去の木村先生の俳句が消去されてしまうということなので,
まとめて,以下にアップいたしましたので,どうぞ心穏やかにお詠みいただければと思います。

今後とも,法曹界期待の俳人木村弁護士の詩をお楽しみください。

桜木町法律事務所 事務局

2011年12月の俳句

黄落や五十路の決断自己破産

街に銀杏の落ち葉が舞います。
風の強い日には一晩で全部散ってしまうこともあります。
相変わらず厳しい経済情勢にやむなく自己破産を決断する方も多いです。
50歳を過ぎての破産は,一からのやり直しが難しい年齢だけに悲痛です。

2011年7月の俳句

差し入れの母の日傘のちさきかな
 在監している息子のためでしょう。今日も母親が差し入れに来ています。年老いた母は,いつの間にか小さくなって,その日傘も小さく見えます。

2011年5月の俳句

春風や授産所のパン焼き上がり 

授産所とは,知的障害者の施設のこと。知的障害者の仕事の中で
パン作りは粘土細工みたいなので人気があり,よく行われていると聞いたきとがあります。
接見の帰り,地下鉄の駅で知的障害者の人たちが,自分たちが一生懸命焼いたパンを売っていました。「パン焼けましたあ!」みんな,足を止めて買ってあげていました。日本人って優しいですね。
春風に焼き立てのパンの香りがするようで,気持ちのいい一日でした。

2011年4月の俳句

春燈や岬(さき)の駐在夜食どき
夜、三浦岬の警察署に接見に行きました。
「お腹がすいたなぁ」と見ると、駐在さんも夜食を食べていました。
今日も店屋物。お互い大変ですね。

2012年2月の俳句

外套(がいとう)の襟(えり)立てけさの執行官

 判決が出ても従わない場合には,やむなく強制執行をします。
建物の明渡しや財産の差押えには,裁判所の執行官が行きます。
時には相手方が出かける前の早朝に行う場合もあります。
そんな寒い朝,執行に向かう執行官は最後の法の守り手としての責任感からか,コートの襟を立てて毅然とした態度でした。